美しい金色は太陽の光にも、時に月の光にも思えた。 「スパイク」 無邪気に自身の名を呼ぶ幼い声。スパイクが小さく笑い返してやると、ははにかんだように笑った。 きらきらと、太陽の光の中で揺れる金色が美しい。まるで天使のようだ、とスパイクは思う。それから同じ金の髪を持つ女を思い出した。ジュリア。とは全然似ていないのに。もしかしたらジュリアも子供の頃はこんな感じだったのだろうか。 「スパイク、見て。すごく綺麗」 「あぁ、そうだな」 の瞳は光に揺れる緑を目一杯に吸い込んでいた。スパイクは格別絵画を愛でる趣味は持っていなかったけれど、こんな絵があってもいいかもしれない、となんとなしに思った。 風が吹く。金色が揺れる。ふわり、と風に乗るようにがこちらを向いた。柔らかな微笑み。陰りなど一切持たぬそれは、スパイクの持つ闇を全て消し去るような光だった。 そうだ、これはジュリアではない。 「」 「なあに?」 小首を傾げるは可愛らしい。スパイクは言葉を続けなかった。この無邪気な娘に、自分は何を言おうとしたのだろう。 「いや、何でもないさ」 「変なスパイク」 笑いながらは踊るようにくるくると回った。スカートがふわりふわりと揺れるのが楽しいらしく、は笑い声を立てて喜んだ。 太陽の光は変わらず二人を照らし続ける。 俺には眩しすぎるな、とスパイクは諦めたように笑った。 |