壊れていく玩具を守りたいと思うのは愚かな事か

 レッドが愛した女だけある、とヒィッツは思う。
 ヒィッツから見ても嗜虐心を誘う娘だった。抜きん出て破壊衝動の強いレッドにしてみれば、何とも壊しがいのある娘なのだろう。けれど厄介なことにヒィッツは、庇護欲を覚えてしまった。破壊集団に身を置きながらこんな感情を覚えるとは、中々皮肉なものである。しかもその相手が、よりによってレッドのお気に入りの玩具だなんて!
「笑える冗談だ」
 ヒィッツはそう呟いたが、それはという娘から見れば心配するような笑みにしかならなかった。

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