その手は一体何を掴むのか

 ぐー、ぱー、ぐー、ぱー。
 手を握ったり開いたりを繰り返しながら、は言った。
「私の手、つるつるしてて何だか気持ち悪い」
 それからヴィラルの肉食獣を思わせる手を羨ましげに見つめた。私もヴィラルみたいな手が欲しかった、と。
「私には様の手は綺麗だと思えますが」
「そう?」
「そうです」
 は納得がいかない風に首をかしげたが、ヴィラルは生真面目な顔をして強く頷いた。
「その手はきっと、私には掴めないものを掴めるはずです」
「それは何?」
「それは、つまり…その、明確に何とは言えないのですが…」
 ヴィラルがしどろもどろになる姿を見て、は微笑んだ。
「ヴィラルが言うなら、そうかもしれない」
「これは責任重大だな」
「今さら冗談だなんて言わせないから」
 が悪戯っぽく笑うと、ヴィラルは参ったなと肩をすくめてみせた。

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