愚かな娘だった。 どうしてニンゲンを殺さなきゃいけないの? そんな馬鹿げた事を真顔で言う娘だった。 いちいち理由がなければ貴様は何もできんのか、と返すと娘は納得がいかない風に口をぎゅっと結んで俯いていた。 どうしてニンゲンを殺さなきゃいけないの。 本当に愚かな娘だった。 ガンメンにも乗らず単身で外へ出た結果、あっさり死んでしまった。 駆け付けた時には既に事切れていた。美しかったその身体をぼろぼろに引き裂いたのは、先日殲滅し損ねたニンゲン達だった。娘が本気を出せば、そのうちの何人かは道連れに出来ただろうに。話せばわかりあえるかもしれないでしょう?娘のそんな言葉が頭をよぎった。 どうしてニンゲンを殺さなきゃいけないの? 簡単な話だ。殺さなければこちらが死ぬ。ただそれだけの理由。 こんな簡単なことがどうしてわからなかったのか。 「お前は馬鹿だよ、」 時折こうして思い出す。その度にいつも思い知らされるのだ。自分はあの娘のことが嫌いではなかったのだと。 |