よく見るとスパイクの両の目は色が違うのだ。まるで宝石のようだ、となんとなしには思う。じいっと見入っているとその視線に気付いたらしい、スパイクが面倒臭そうに尋ねた。 「珍しいか」 問われたはこくこくと頷いた。初めて見たのだ。珍しいに決まってる!と目をきらきらさせるを見て、スパイクは諦めたように笑った。 「愉快なもんじゃないけどな」 自分で笑っておきながら、そう言うのだ。にはまるで意味がわからない。きょとんとしているの頭をスパイクがわしゃわしゃと撫でる。 「ガキはわかんなくたっていいのさ」 「ガキじゃないよ」 立派なレディなんだから、とが精一杯背伸びをして言う。そういう所がガキなんだ、とはスパイクは口には出さない。代わりに肩をすくめてみせた。 「けどな、わからなくたっていい事はわからないままでいた方がいいんだよ」 ガキだろうが大人だろうが関係ない、とスパイクは呟いた。それは相手に言い聞かせる類のものではなく、どちらかというと独り言に似ていた。 そんなスパイクにはお構いなしに、宝石の美しさに理由がいらないのと一緒なのだろうという見当違いな答えを見つけたは、飽きるまでスパイクの両の目を見続けた。 |