其の美しさを解さない狂人

「人を殺すのって楽しいの?」
「楽しいに決まってる」
 何を当たり前のことを、とレッドは面倒臭そうに答えた。
 幾度も床を共にしている仲ではあったが、にはレッドという男が未だにわからない。
「お前はあの絵を美しいと思ってるんだろう?」
「それは勿論」
 あの絵、というのはが部屋に飾っている絵画である。は芸術品を好んで集めているのだが、それはとりわけ気に入っている作品だった。
「私が楽しいというのはそういう理屈さ」
「そういう理屈、ねぇ…」
「何だ、不満か」
 に不満は無い。けれど、思うところはあった。
「貴方って本当に狂ってるよね」
「私からみればお前の方がよっぽど狂っているがな」
 にはやはりレッドという男がわからない。

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