煙を追う

 どうすれば大人になれるのだろう。
 は早く大人になりたくてたまらなかった。
「煙管を吸ったところで、大人になれる訳ではないぞ?」
「わかってる」
 言いながら、は煙を吸う。肺に違和感。瞬間、乾いた咳が出た。が目に涙を滲ませていると、残月はの手からするりと煙管を取り上げた。
「慣れないことをするからだ」
 呆れたような声。口元は笑っている。
「残月、ずるい」
 悔しくて出そうになった涙を、は息を吐いてどうにか堪える。
 残月は何も言わず、煙管を吸った。慣れた手付き。はそれがまた、気に入らない。

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